日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

我が社の売れ筋 ヒットのひみつ17
「辞書びきえほん」シリーズ ひかりのくに

(月刊「こどもの本」2020年7月号より)
「辞書びきえほん」シリーズ

知ることって、とっても楽しい!

隂山英男 監修
2008年3月~刊行

 今ではすっかり定着した感のある「辞書引き学習法」ですが、このシリーズの企画を立てていた当時は、まだあまり世間に浸透していませんでした。

 ページに付せんをたくさん貼られた辞書が、パンパンに膨らんでいる写真を見られた方も多いと思いますが、あのような状態は、本を作る者にとってある種の「夢」のようなものです。

 あの本のように、徹底的に読み込まれる本を作りたい。しかも、幼児からでも手に取れる内容の絵本で…。そのような思いからこのシリーズは始まりました。

 まずはテーマを何にするか。人気があって、絵や写真を見るだけでも楽しめる『日本地図』、そして『国旗』とすぐに決まりました。

 おかげさまで最初のテーマが好評で、その後も『ことわざ』、『世界地図』、『漢字』、『もののはじまり』、『科学のふしぎ』、『歴史上の人物』と次々と続刊がでました。

 この本の一番の特長は、調べたページにある重要なキーワードを核にして、別のページにどんどん広がっていくことです。

 具体的に言うと、例えば『日本地図』で静岡県を調べるとします。辞書のようにあいうえお順にならんでいるので、それを元に静岡県のページを探し当てることができます。説明のイラストには富士山があり、それを巻末ページでくわしく調べることができます。また、その説明を読むと富士山は世界遺産であることがわかり、さらに世界遺産を調べてみると…。というふうに知りたいことがどんどんつながっていく仕掛けになっています。

 2016年からは内容を最新の情報にアップデートしていくために、順次、改訂新版を発売しています。最新刊は2020年7月発売予定の『科学のふしぎ』です。

 世の中の動向に合わせる形で、プラスチックごみや地球温暖化、SDGsなどの環境問題や新型コロナに代表されるウイルスの病気のことなど、64ページを増補しての発売になります。

 今後も子どもたちに「知ることって、楽しい!」と思ってもらえるテーマを見つけて、刊行を続けていきたいと思います。

 できることなら、子どもたちの手元の本が付せんで膨れ上がって、パンパンになるくらいの面白い本を作りたいと思っています。

(ひかりのくに 北山文雄)