日本児童図書出版協会

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こどもの本

我が社の売れ筋 ヒットのひみつ16
「ピヨピヨ」シリーズ 佼成出版社

(月刊「こどもの本」2020年5月号より)
「ピヨピヨ」シリーズ

親子で過ごす幸福な瞬間が詰まった絵本

工藤ノリコ 作
2003年12月~刊行

 ニワトリのお父さん、お母さんと五匹のヒヨコたちの繰り広げる日常を描いた「ピヨピヨ」シリーズは、二〇〇三年に発刊された『ピヨピヨスーパーマーケット』から、二〇一六年に発刊された『ピヨピヨおばあちゃんのうち』に至るまで、たくさんの読者の方に愛されている人気シリーズです。

 特別ではないけれど、日々家族で重ねていく大切な時間を丁寧に描いていただきました。

たとえば、『ピヨピヨスーパーマーケット』は、ピヨピヨたちが、お母さんと一緒にスーパーに買い物に行ったのに、お目当てのものを買ってもらえず落ち込んで帰ってきて……という展開でお話が進みます。この文面だけ読んだら「え? それだけ?」と思うかもしれませんが、この作品がスゴいのは、日常の生活にちりばめられている家族愛、幸福感を温かな視点で切り取り、見事に表現しているところなのです。

 買い物あるあるや、クリスマスあるあるなども登場します。小さなお子さんがいるご家庭では、「あー、うちもそれ、ある!」と言ってしまうような場面が、それぞれの作品に出てくるでしょう。

 どの作品も、元気いっぱい、好奇心の赴くままに動き回り、お父さんとお母さんに見守られて、すくすくと大きくなるピヨピヨたちの姿が、長い間多くのファンを魅了してやまないのだと思います。

 また、このシリーズは画面の隅々まで細やかに描かれた絵が非常に人気で、「自分も楽しんで読んでいます」という親御さんからの声もたくさんいただいています。

 作者の工藤ノリコさんは、スーパーマーケットや、おもちゃ屋さん、ケーキ屋さんなどは時間をかけて丁寧に取材され、キャンプはなんとご自身で体験して、その魅力や楽しさを伝えてくださいました。

 それだけでなく、シリーズを通して登場するブタさん一家やカワウソさん一家など、ピヨピヨ一家以外のサブキャラクターも、愛情こめてユーモアたっぷりに描かれているので、サイドストーリーとしても十分に楽しんでいただけます。

 一冊読むと、他の作品も読みたくなるという・ピヨピヨマニア・は年々増加中。まだ読んでいない方、この機会にぜひ手に取って読んでみて(眺めてみて)ください。

(佼成出版社 櫻井友貴)