日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

我が社の売れ筋 ヒットのひみつ11
「ばけたくん」シリーズ 大日本図書

(月刊「こどもの本」2019年9月号より)
「ばけたくん」シリーズ

子どもたちの「好き~!」の声
「ばけたくん」シリーズ
岩田明子 ぶん・え
2009年2月~刊行

『ばけばけばけばけ ばけたくん』の発行は、2009年。以来シリーズとなり、今年10周年を迎えました。6月には最新刊『ばけばけばけばけ ばけたくん おるすばんの巻』が刊行。発売3日後には「買いました! シリーズ全部持ってます。10周年おめでとうございます!」とのおハガキを読者の方よりいただきました。10年経ってもお祝いの言葉をかけていただけるなんて、すごい! こういう読者の方がいてくださるからこそ、シリーズとして続いてきたのだと思います。

 作者の岩田明子さんも「みなさんの声で2冊目を描くことになり、その後、何冊ものシリーズになるなんてビックリです!」と。

 正直、出版社としても最初からシリーズ化を考えていたわけではありません。1冊目の発売後しばらくして「次のおはなしは?」という声をいただくようになって、「これは2冊目が出せるかも…?」と、岩田さんにご相談したのです。

 岩田さんの最初のご返事は「え、無理です」でした(笑)。「1冊目にやりたいことを全部入れちゃったので」と。そうですよね~と言いながら「でも、子どもたちが待ってるんですよ…」とお伝えしたところ、しばらくして「考えてみました」と! それが「ばけたくん」シリーズの始まりでした。

 それから「ぼくのおうちにもきてね」とか、「おなかこわさないでね」とか、子どもたちから、ばけたくんへのメッセージが届くようになりました。

 子どもたちの書いた文字は解読が難しいんですが(苦笑)、岩田さんは読みながら「描いた私も知らないところで、ばけたくんが知らない子のお友だちになったりしてるんだろうなあ…」と。子どもたちにとって「ばけたくん」は本当にいるおばけの子なんですね。

 子どもたちからのメッセージはまだまだあります。「ばけたくんになりたい!」「あかちゃんのときもばけられたの?」「ドーナツを食べたら、ばけたくん、真ん中に穴があくんですか?」(ドーナツを食べたらどうなるかは最新刊で明らかに!)ときには、「つぎはこれを食べたらいいんじゃない?」とアドバイスをいただくことも。岩田さんが「あ、そうか! そういう設定も考えなきゃいけないんだ」とハッとされることもあるくらいです(笑)。

「我が社の売れ筋 ヒットのひみつ」というお題をいただいた「ばけたくん」シリーズ、やっぱり、子どもたちが「ばけたくん好き!」

と言ってくれることに尽きると思います。

(大日本図書 當田マスミ)