日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『かぜビューン』 tupera tupera

(月刊「こどもの本」2018年3月号より)

tupera tuperaさん

勢いよくめくろう!

地面から野菜を・すっぽーん・と引っこ抜く絵本『やさいさん』、木から果物が"ぽろりん"と落ちる絵本『くだものさん』、博士、コック、カウボーイ…の帽子をとったらびっくり!な絵本『ぼうしとったら』。そして学研のしかけえほんシリーズ第四作目となるのが、今回出版となった『かぜビューン』です。

『かぜビューン』の話をする前に、学研の担当編集者の木村真さんの話をしたいと思います。木村さんは、絵本を一緒に作る前からの友人です。お酒を飲んだり、フットサルをしたり、旅行に行ったり…。仲良くなって数年が経った頃、そろそろ絵本でも作ろうか!という話になって、仕事が始まりました。なので、絵本を作る際も友達のノリ。学研から最後に出した絵本『おばけだじょ』の出版から二年が経ち「そろそろやらない?」なんて具合です。そのような感覚で、これまでに一緒に生み出した絵本は、極めてシンプルで勢いのよい作品ばかりだと感じています。

『かぜビューン』もそんな作品です。アイデアは、旅先の電車の中で生まれました。手帳の紙を切って折って続編となる新たなアイデアをパタパタとしながら考えていた時、野菜や果物、帽子のようにモチーフから思いつくのではなく、めくる動作にビビッ!ときたのです。"勢いよくめくる絵本"。そういった絵本がこれまでにないように思って、自分の中の創作意欲のスイッチが入りました。そして考えたテーマが"風"。勢いよくめくる動作で生まれる風が、様々な人を驚かせます。男の子の鼻水をびょ~んと伸ばしたり、女の子が持つ綿毛を飛ばしたり、バッチリきめたツッパリのリーゼントをさかさまにしたり、ヒーローのマスクを飛ばしたり…。読み手が勢いよくめくることで生まれるハプニング。

自分が風になって、ちょっぴりいたずらをしている気分になれる絵本です。ぜひ、風をビューン!と勢いよく吹かせて、みんなで楽しんでくださいね。

(ツペラ ツペラ)●既刊に『うーん、うん』『こーい、こい』『モノモノノケ』(阿部高之/写真)など。

『かぜビューン』
学研プラス
『かぜビューン』
tupera tupera・さく
本体950円