日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『?(ギモン)を!(かいけつ) くすりの教室』(全3巻) 加藤哲太

(月刊「こどもの本」2018年3月号より)
加藤哲太さん

なぜ?を解決しながらくすりを知る。

 薬が人の健康を守るために必要なものであることはもちろんですが、「諸刃の剣」といわれるように、使用法を誤れば効かないばかりかかえって健康を害するものにもなります。「薬を正しく使用する」ためには、薬の役割を知り、薬の工夫を知り、自分に合った薬を選び、正しく安全に使うこと、そして効き目や副作用にも注意することが大切です。

 薬には「粉薬、錠剤、カプセルなどがある」ではなく「なぜ多くの種類があるか?」、「用法・用量を守りなさい」ではなく「なぜ守らなければならないか?」、「水又はぬるま湯で飲みなさい」ではなく「なぜ他ではダメなのか?」、「なぜ薬は必要なのか?」など、なぜ?を解決していく大切さを知ってほしい。この本の題「?(ギモン)を!(かいけつ) くすりの教室」はそんな気持ちを示したものです。

『(1)くすりってなに?』では、薬のサポーターとしての役割と薬の工夫を取り上げています。ここでの「?(ギモン)を!(かいけつ)」は、薬を正しく選び、使用するための基礎となるところです。

『(2)くすりはどう使う?』では、薬の選択と使用法を取り上げています。「使った薬がきちんと効くようにする」ためには、薬を使うときの約束事の意味、なぜ?をちゃんと理解することが大切なことを知って
もらいたいと思います。薬を使用するときには、説明書を読むこと、疑問があったら薬剤師に相談することが大切であることも加えました。 子供が自分勝手に薬を選び使用することはいけないことですが、使用するときの判断力を磨く努力を子供のころからしていくことは大切だと思います。

『(3)くすりと体の関係は?』では、1・2巻でみてきたようにさまざまに工夫された薬が正しく使われると、どんな活躍をするかを取り上げました。その中で、薬を通して、病気や自分の体のことを考え、理解してもらうことを意図しています。

 セルフメディケーションの重要性が注目されている現在、この本が、子供のころから薬のこと、病気のこと、体のことを考えるきっかけになり、セルフメディケーションの基盤づくりに寄与できることを願っています。

(かとう・てつた)●既刊に『トコトンやさしい薬の本』『危険ドラッグ問題の表と裏』(共著)など。
『?(ギモン)を!(かいけつ) くすりの教室』(全3巻)
保育社
『?(ギモン)を!(かいけつ) くすりの教室』(全3巻)
加藤哲太・監修 WILLこども知育研究所・編著
本体各2、800円