日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『たくはいびーん』 林 木林

(月刊「こどもの本」2018年2月号より)
林 木林さん

『たくはいびーん』でことばあそびーん♪

 これまで私は、言葉遊びが出てくる絵本をいろいろ書いてきました。ダジャレ、早口言葉、ぎなた読み、替え歌、あいうえお……などです。そしてこのたび、新しい言葉遊び絵本『たくはいびーん』が出版されました。

 今回は変身言葉の絵本です。例えば、「わたがし」から「た」をぬくと「わがし」に、「たいこ」から「こ」をとると「たい」に、という要領で、特定の文字を取ったり入れたりすることによって変身する言葉。それを集めて作品にまとめました。長い期間かけて、条件にあてはまる言葉を少しずつ思い付いては書きとめて、リスト化するところからのスタートでした。

『たくはいびーん』に登場するのは、可愛い動物たちの宅配便屋さん。「た」をぬく「たぬきびん」や、「こ」をとる「ことりびん」などがお客さんの荷物をあずかって、びーん♪ と配達します。すると、あらら 荷物が大変身。「たぬきびん」が「わたがし」を運ぶと「わがし」に、「ことりびん」が「たいこ」を運ぶと「たい」に変わってしまいます。

 各画面に見所がたくさんありますので、ぜひ細かい所も楽しんでほしい一冊です。お店に貼ってあるポスター類などにも言葉遊びを取り入れました。背景に小さくちりばめられたダジャレも探してみてください。可愛くてユーモラスな宅配便屋さんのキャラクターをはじめ、乗り物、ユニホーム、小物も個性的で、くすっと笑えます。ゆっくりと御覧いただけたら嬉しいです。

 じつは、この作品の陰には、ページ数などの都合で登場することができなかった、まぼろしのドライバーたちが居ます。「こんどるびん」「ぷーどるびん」「かまきりびん」「ちりとりびん」などです。この場をお借りして、名前だけでも紹介したくて一部書かせていただきました。

 絵本が出来上がっても、言葉遊びだけは癖になっていて、やめられません。ネットショッピングの宅配便を受け取るたびに、新しい言葉遊びを考えそうになる私です。

(はやし・きりん)●既刊に『あかり』『みずたまちゃん』など、既訳書にA・ダイクマン『おちゃかいのおやくそく』など。

『たくはいびーん』
小峰書店
『たくはいびーん』
林 木林・作
出口かずみ・絵
本体1、500円