
12歳に教わる
大人のみなさま。
突然ですが、最近、何かを信じたことありますか?
いきなり、こんな問いかけをされると、最近どころか、今まで生きてきて何かを信じたことなんてあったかな?信じるってなに? とか、戸惑いながらも案外、真面目に考えてしまいませんか?
『たったひとつの君との約束』のヒロイン、未来ちゃんの信じる力は自分で書いていて圧倒されました。
彼女は、五年生のときに膠原病で入院します。
そのときに自分のおばあちゃんのお見舞いに来ていたひかりという同い年の少年と出会い、病室から二人で花火を見ます。
そして、一年後にも二人でこの花火を見ようと約束するのですが…。
これが大人からすると実に曖昧な約束なんです。
お互いの住所も電話番号も知らないのに約束だけしてしまう。
しかも自分が退院する時にひかりは見送りに来てくれない。
大人だったら、しょせんはその場限りの約束だと考えるでしょう。
しかし、彼女にそんな発想は微塵もありません。
あやふやな約束を信じきります。
それはきっと自分が一番つらい時に出会えたひかりを宝だと思っているからでしょう。
大人になると、疑うことから始めてしまいますが、未来という少女を描いているとそれがとてもバカらしくなってきます。
私は彼女に教わりました。
物事は結果ではないということを。どこまで信じることができるかどうか、そこが大切なんだと。
大げさな表現ですが、信じている時、人は輝けます。スポーツ選手が輝いているのは勝つと信じて練習しているからです。
私も作家として未来ちゃんに恥ずかしくないシリーズに書きあげられると自分を信じて……います!
(みずのまい)●シリーズ第2巻『たったひとつの君との約束 ~はなれていても~』2月24日発売。
集英社みらい文庫
『たったひとつの君との約束 ~また、会えるよね?~』
みずのまい・作
U35(うみこ)・絵
本体640円