日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私がつくった本73
株式会社メディカ出版(保育社) 医療・福祉の仕事 見る知るシリーズ編集室

(月刊「こどもの本」2016年10月号より)
医療・福祉の仕事 見る知るシリーズ(既10巻)

医療・福祉の仕事
見る知るシリーズ(既10巻)
WILLこども知育研究所/編著
2014年12月~

「おめでとうございます。元気な男の子ですよ」
「医療・福祉の仕事 見る知るシリーズ」の制作において、忘れられないのは『助産師の一日』の撮影でしょうか。出産間近の妊婦さんにご協力いただき、実際の出産の場にカメラマンとともに立ち会わせていただきました。
 出産予定日の2週間前からカメラマンの日程を押さえ、私自身もいつでも病院へ行けるよう、24時間態勢でスタンバイ。出産予定日には産まれず撮影待ちの約3週間、いつ連絡が来るか、ソワソワしながら電話を待ち、電話が鳴るたびにドキドキして、まるで、出産間近な家族の気分。今思えば、パパになる男性の気持ち、家族の気持ちになっていたのかもしれません。産まれた赤ちゃんは元気で、大きな声で泣いていて、無事でほっとしたのとうれしくて、一人号泣してしまいました。
 こんな医療や福祉の現場の日常を写真で切り取った本、それが「医療・福祉の仕事 見る知るシリーズ」です。
 おもに中学生に向けて医療・福祉の仕事を紹介した書籍シリーズであり、発行は株式会社保育社、企画制作は同社の親会社、医療・福祉の専門職向けの書籍を出版している株式会社メディカ出版が行っています。
 このシリーズは学校の司書の方々から医療・福祉の現場における職種や仕事内容の違い、給与や将来性などについての質問をいただいたことがきっかけとなり誕生しました。書籍の前半部分は、一職種の一日を写真で追いかけ、その仕事内容を伝えると同時に、難しさや大変さ、うれしさなどを見て感じることができるようにしています。また、後半部分はその職種に必要な情報を掲載、今、学校で学んでいるどんな教科が特に役に立つか、資格を取るためにどのような学校に行けばいいのか、学校ではどんなことを学ぶのか、など、進学に必要な情報のほか、その職種の今の課題や未来像など、職業選択時に知りたい情報を紹介しています。
「医師」「看護師」「助産師」「介護福祉士」「救急救命士」をテーマとした第一弾(2014年)から始まり、翌2015年には「管理栄養士」「薬剤師」「理学療法士」「保健師」「保育士」を刊行しました。そして、今年は第三弾として「歯科医師」「社会福祉士」「臨床検査技師」「作業療法士」「獣医師」の5冊を制作中です。シリーズ第一弾は、2015年に「第17回学校図書館出版賞」という大変名誉な賞を戴いたことで、より多くの方にお届けする機会を得ました。
 当シリーズをきっかけに、医療・福祉の仕事に興味を持ち、将来医療・福祉の仕事に従事する方が一人でも増えるといいな、と思っています。