日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『なかなおりしよ』 やまはたマリー

(月刊「こどもの本」2024年5月号より)
やまはたマリーさん

けんかをしたら……

 なかよしの相手とささいなことがきっかけでけんかになってしまった時、そして、変な意地をはってしまい、すぐになかなおりができない時、私はとても悲しくなります。

 十分が一時間にも感じられ、気を紛らわそうとしても、考えるのはただただ相手のこと。

 だけど、勇気を出して話しかけて、お互いの気持ちを伝えあい、自分の悪かったところを謝り、相手もそれに応えてくれる。

 そして無事になかなおりができた時、これからも一緒にいられるんだと、すごく安心するし、あったかい気持ちになります。

 この絵本『なかなおりしよ』は、そんな経験をするぶたちゃんとくまちゃんの様子を、観音開きのしかけで表現した楽しいしかけ絵本です。

 観音開きにすることにより、左右に分かれたふたりが、怒ったり泣いたり、「ごめんなさい」とおじぎをしたり、「ぎゅー」とハグをしたり、最後には「なかなおり」をする様子が、同時に見られます。

 それがとても可愛らしいのです。

 この絵本のお話は、我が家の、よくけんかをするけど、本当はお互いのことが大好きな子供達を見ていて、きっとこんなふたりは世界中にいるんじゃないかな?と思い、出来上がりました。

 小さな子供達はもちろん、大人にも読んでいただきたい、素直な気持ちになれる絵本だと思います。

 きょうだい、友達、親子、夫婦、パートナー。けんかをしたら、この絵本を一緒に読んで、よかったらぜひ「ごめんなさい」と「ぎゅー」を。

 それは恥ずかしいよという方も、少しでも、コミュニケーションのきっかけになれば嬉しいです。

 もちろん、けんかをしなくても、おひとりででも、表情がコロコロ変わり、たくさん動くぶたちゃんとくまちゃんを見て、癒されたり、ふふっと笑っていただけたら、こんなに幸せなことはありません。

●既刊に『ぱらぱらどうぶつえん』。

『なかなおりしよ』"
大日本絵画
『なかなおりしよ』
やまはたマリー・作
定価2,530円(税込)
(7月発売予定)