日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

我が社の売れ筋 ヒットのひみつ22
「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」シリーズ 平凡社

(月刊「こどもの本」2021年4月号より)
「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」シリーズ

現代っ子がおとぎの国で大冒険!

クリス・コルファー 作/田内志文 訳
2018年7月〜刊行

 双子のアレックスとコナーは 歳になったばかり。ある日、おばあちゃんからもらった本『ランド・オブ・ストーリーズ』の中に吸いこまれ、「めでたし、めでたしの後の世界」に迷い込んでしまう。そこは、シンデレラ、白雪姫、赤ずきんといったおとぎ話の登場人物が暮らす世界。双子は元の世界に戻るため、冒険に出る︱︱。 そんなキャッチーな設定で全米ベストセラー、世界 か国で刊行され、ハリウッド映画化も決定した「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」。作者のクリス・コルファーは日本でも大ヒットしたミュージカルドラマ『 glee/グリー』に出演していた俳優で、自作の映画の監督・脚本も務めるという多才な人物です。話題十分ですが、なにぶん弊社は児童向けノベルスシリーズを出すのは初めて。そのため、試行錯誤での取り組みが始まりました。 まず取り掛かったのは、ツイッターアカウントの開設です。作者のファンに向けて刊行をアナウンスし、「glee/グリー」ファンコミュニティでの認知を高めました。本の制作中の様子もツイートし、進行を読者と共有することで、購買層の下支えをしました。 次に、書店様・図書館様向けの提案を行いました。本シリーズは、おなじみのおとぎ話の登場人物たちの描かれ方が実にユニーク。たとえば、赤ずきんは超ワガママで、「ジャックと豆の木」のジャックに熱烈な片思いをしているという具合です。そこで、表面は登場人物のキャラクター紹介、裏面は「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」の世界地図を入れてリーフレットを作成し、気軽に世界観を知れてキャラクターに興味を持ってもらえるように工夫をしました。ある書店様チェーンでは、リーフレットの内容をもとにデジタルサイネージ広告も実施し、店頭での広告効果も狙いました。 刊行後は、子どもの口コミ力に期待し、読者からの感想やイラストを募集・掲載した

「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ通信」を発行。小・中学生を中心に多く手紙が寄せられ、掲載した読者からは「うれしくて友達に話した」「学校に持っていって先生に見せた」という声が多く聞かれました。 このような努力が実ったのか、巻を重ねるごとに重版がかかり、「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」シリーズは、本シリーズ6冊に加え人気キャラを主人公にしたスピンオフ2冊の合計8冊を刊行。続編も予定されています。 映画の製作が進行すれば、ますます盛り上がる「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」シリーズ、ぜひ今後にご期待ください!

(平凡社 吉田真美)