こどもの本

私がつくった本66
国土社 浜本律子

(月刊「こどもの本」2015年9月号より)
おひさまへんにブルー

おひさまへんにブルー

花形みつる/著
2015年4月刊行

「おひさまへんにブルー? は? なにそれ?」
 タイトルに「?」と思う方は多いかもしれない。先日も、書店さんから「このタイトル、どこで区切るのですか?」と問い合わせをいただいた。そうか、区切る場所を変えると意味が変わるのか、とそこで初めて気づいた。「おひさま、変にブルー」というのも面白いかも。でも、できれば「おひさまへん、に、ブルー」と読んでもらいたい。
 タイトル決めは難航した。本の冒頭と終わりに出てくる竹の青、そして竹を見あげたとき、生い茂る葉のむこうに広がる空の青―明るいけれどどこか寂しげなその青をどうしてもタイトルに入れたかった。「青」を入れよう。それは決まっているのに、考えても考えても、なかなか胸にストンと落ちるタイトルが出てこない……「青が散る」「青の時代」「限りなく透明に近いブルー」「ラプソディ・イン・ブルー」……かわりに、ほかの作品のタイトルが出てくる出てくる。みなさん、うまいタイトルを思いつくものだなあと感心するばかりだ。
 さて困ったと思っていたときに、花形さんがひそやかに、あるアイデアを口にされた。ずっと心にひっかかっていたのだけれど、たぶん使えないからと口にされずにいたという。とても面白いアイデアで、そこからあっというまにタイトルが決まった。「おひさまへんにブルー」―物語を体現するようなタイトルになった(と思う)。花形さんとは電話でお話ししていたのだが、私は思わず椅子の上でとびはねていた。きっと花形さんもそうだったにちがいない。
 では、どういう物語かというと―主人公は、小学校五年生の拓実。学校ではいじめられ、家でも居場所がない、途方にくれた少年だ。そして、もう一人、学校じゅうの生徒から疎まれている規格外の問題児オイカワ。究極のいじめられっ子とヤクザ予備軍。まったく接点のなさそうな二人だが、二人とも、大人になりきれない大人たちにふりまわされ、ぎりぎりのところでふんばっている(本当はもうひとつ、共通点があるのだけれど、ここでは触れないでおく)。このオイカワという少年の存在が拓実を少しずつ変えていくのだが……。
 花形さんは最後に、うっすらと射しこむ希望を描いてくれる。それは児童文学らしいあからさまな希望ではなく、希望と呼べるかどうかさえはっきりしないものだけれど、だからこそしっかりと存在を信じられる光になっている。手前みそになってしまうかもしれないが、この本を編集しているとき、子どものころ、こういう物語を読みたかったと何度も思った。本はきれいごとばかり書いてあるからつまらないと思っているうがった見方をする子にはとくに、ぜひ読んでもらいたい。きっといろんなことを感じとってもらえると思う。