日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『おでかけするよ』 わたなべちいこ

(月刊「こどもの本」2015年6月号より)
わたなべちいこ

「おでかけ」は大冒険!

 子供たちの目線で見る外の世界とは、どんなにエキサイティングで、キラキラしていることでしょう。彼らにとって、「おでかけ」とは、大大大冒険なのです。公園でお友達に話しかけたり、横断歩道を渡ったり、動物園で巨大な象さんを見上げたり、まさにアドベンチャーの連続です。大人にとっては何気ない日常の一こまや、見慣れた風景でも、小さな子供にとっては、初めて見るもの触れるもの、何でも新鮮に感じることでしょう。そんな楽しくてちょっぴりドキドキしちゃう「おでかけ」をしながら、いろんな動物や乗り物、身の回りの物の名前を覚えられるのが、この絵本『おでかけするよ』です。

 左ページに、楽しいおでかけの一場面があり、右ページにはその場面の中で出会う動物や乗り物などが、分かりやすくピックアップされています。それ以外にも、朝起きてご飯を食べたり、歯を磨いたり、お手伝いをしたり、夜になったらお風呂に入ったりと、一日の様子が描かれています。身の回りの物の名称を、無理なく、楽しみながら覚えられる一冊です。ところどころに、ちょっとユーモアのあるキャラクターが紛れ込んでいたり、裏表紙のイラストは表紙との間違い探しになっているなど、遊び心にもあふれた作品です。ただ覚えるだけの言葉絵図鑑ではなく、場面のイラストからストーリーを想像したり、自分が好きな動物を指差したりしながら、どんどんお話を膨らませていける絵本なのです。

 小さな子供の想像力は無限大です。豊かにイマジネーションを広げてもらいたい、その点に留意し、編集の松田さんとともに工夫して作り上げました。「このパトカー、これからどこに行くのかな?」とか「ぼくの部屋にも夜になったら、お化けが遊びにくるのかな?」なんて、おしゃべりしながら読んでくれたら嬉しいですね。おでかけするときも、雨でお家にいるときも、楽しいストーリーを想像しながら、この絵本と一緒に過ごしてもらえればと思います。

(わたなべ・ちいこ)●既刊に『にほんちずえほん』『脳科学からうまれた ゆびゆびえほん』(岡田浩之/監修)など。

『おでかけするよ』
教育画劇
はじめてのことば絵図鑑
『おでかけするよ』
わたなべちいこ・作・絵
本体900円