日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私がつくった本61
少年写真新聞社 矢崎公一

(月刊「こどもの本」2015年2月号より)
からだはすごいよ!(既刊6冊)

からだはすごいよ!(既刊6冊)
2013年2月〜

「自分のからだってすごいよ!」。小学校低学年の子どもにこんな気持ちを感じてもらい、自尊感情を高めることにつなげたい。

 絵本シリーズ「からだはすごいよ!」は、そんな思いから企画がスタートしました。私は普段、学校の保健室などに掲示していただいている掲示用写真ニュース「保健ニュース」の制作を担当しています。保健ニュースでは病気の予防や健康づくりなど、専門家の取材を通して学校保健に関するさまざまな情報を子どもたち、また先生方に届けています。体の各器官について扱うことも多く、人間の体は「すごいよ!」と、私自身、感心することがあります。

 今回の企画は、学校現場をよく回っている営業部と意見を交換しながらまとめていきました。私は、「保健ニュース」で心臓の紙面を作ったときに個人的に興味を持ったこともあり、人体の中でも最も大切な器官である「心臓」をテーマにした巻を担当しました。

 心臓の「すごいよ!」といえば、生まれてから死ぬまでひとときも休まずに、拍動を続けていることです。ちょっとぐらい休んだり、心臓の代わりになるものがあったりしてもよさそうですが、そんなことはできません。絵本の中には、地味ながら、ひたすら真面目にがんばる心臓が登場します。イラストレーターの木村倫子さんには、淡いタッチの中にも、心臓の「ひたむきな」姿を描いてもらいました。

 また、心臓の動きが止まるということは死を意味するので、絵本の中では、死に関するページもあります。現代の日本では、死を身近に感じることは少ないですが、だからこそ死を少し意識することで、生を意識し、そして心臓の働きに気づいてほしいという思いがありました。

 このシリーズでは、基本的なストーリーは、普段子ども向けの紙面を作っていることもあり、担当編集者が考えています。専門的な部分については医療関係の専門家に監修をお願いし、医学的に問題がないか細かく見てもらいました。

「からだはすごいよ!」の第1弾は、『ドキドキかんじるしんぞう』、『スルスルスルリンウンチをだすぞ』、『ぐんぐんせがのびるひみつ』の3巻です。

 第1弾が好評だったため、2014年には第2弾シリーズも刊行しました。第2弾は、『まいにちイキイキねむりのふしぎ』、『ぬくぬくげんきぼくのたいおん』、『にょきにょきパッチンつめのひみつ』の3巻で、第1弾よりもさらに多彩な内容となっています。

 この絵本は、子どもに役立つ知識だけではなく、大人も知らなかった意外な内容もたくさん詰まっています。絵本を読んで、読者が「すごいよ!」と思ってくれるように願っています。