日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『ニンジャさるとびすすけ』 宮西達也

(月刊「こどもの本」2014年11月号より)
宮西達也さん

一人一人が考えてくれたらいいなあ

 僕は本を作る時にいつもおもっていることがあります。それは、「今までになかったものを書きたい」ということです。

 今回の本、登場人物の、『さるとびすすけ、父、母、友達のきりがくれきんぞう、子分のニンジャが沢山、そしてお殿様』ですが、素顔で出てくるのは、なんとお殿様一人だけ。あとは、目だけはわかりますが、覆面で鼻も耳も口も髪型もわかりません。主人公の顔がわからないなんて本は初めて書きました。

 そして、テーマが、『勉強・いじめ・死』ちょっと暗いものばかり…。

 人は、なぜ勉強するのでしょう? 勉強と遊びどちらが大事なのでしょう? いじめをなくすにはどうしたらいいのでしょう? 死んだらどうなるの?

 子どもも大人も疑問におもうことです。本の中でお殿様が、答えをだしますが、それが正解とも言えません。この本を読んでくれた一人一人が考えてくれたらいいなぁとおもって作りました。

 人生は、山あり谷あり。そして、必ず分岐点があります。YESかNOを選ばなければいけない時もあります。そんな時、「どっちらでもいいやぁ」「だめでもいいやぁ」と無関心だったり、あきらめてしまうのではなく、一生懸命考えてほしいのです。力の限りがんばってほしいのです。それが成長すること、ステキな生き方なんだとおもいます。人はみんなちがいます。自分らしい自分にしかない○○術で前に進んでください。

 この本の中には、沢山のニンジャが登場します。(こんなにニンジャを描いたのは初めてです。途中、何度かくじけそうになりました・笑)ちょっとまぬけだったりしますが、それでも一生懸命です。一人一人を自分だとおもって描きました。みなさんもじっくり見てあげてください。

 この文章を書いていたら、しめきりの催促が…そ、それでは、みなさん、忍法この葉隠れの術で、し、失礼します。ドロドロドローーーン!

(みやにし・たつや)●既刊に『おまえうまそうだな』『にゃーご』『サカサかぞくのだんながなんだ』など。

「ニンジャさるとびすすけ」
ほるぷ出版
『ニンジャさるとびすすけ』
みやにしたつや・作・絵
本体1,200円