こどもの本

私がつくった本51
学研教育出版 川口典子

(月刊「こどもの本」2014年1月号より)
動物と話せる少女リリアーネ(既刊11冊)

動物と話せる少女リリアーネ(既刊11冊)
タニヤ・シュテーブナー/著、中村智子/訳
2010年7月〜

 二〇一三年十月に九巻下巻を発売した『動物と話せる少女リリアーネ』はレギュラー巻十巻とスペシャル版(短篇とファンブックを合わせたもの)一巻で、合計十一巻の大きなシリーズとなった。刷り部数も百万部を突破し、来年、再来年とまだまだ続く予定である。

 二〇〇九年夏、赤毛の女の子がゾウと犬と猫といっしょに描かれた、ピンクの表紙が印象的なドイツの児童書が、私の手元に届いた。

 原題は“Liliane Susewind”(リリアーネ・スーゼヴィント)。主人公の少女の名前だ。物語は、主人公が、鏡の前で、からまりあった長い赤毛をとかすところから始まる。階下でお父さんが、「転校早々遅刻してしまうぞ」と呼びかけている。リリアーネは転校生。この何かが始まりそうな冒頭シーンで、この物語の魅力に引きこまれてしまった。

 予想通り転校初日、あることが原因で、リリアーネはいじめっ子に目をつけられてしまう。落ち込んだリリアーネは帰宅すると、飼い犬ボンサイに学校であったその日の出来事について、語り始める。ボンサイという犬の名前(原書も Bonsai)も傑作なら、リリアーネが人と同じように、ボンサイに語りかけるシーンも印象的だ。そう、リリアーネは動物と話せるのだ!

 もしも動物と話せたら…動物好きだったら、必ず夢見る能力だ。リリアーネは動物と話せるほか、植物を元気にしたり、花を咲かせたりという能力まで併せ持っている。その能力を発揮して、困っている動物のために、親友イザヤ、ペット(リリアーネにとってはペットというより親友)の犬や猫とともに困難に立ち向かっていく。そんなリリアーネは、きっと日本の小学生にも受け入れられる、と確信した。

 著者のタニヤ・シュテーブナーさんも大の動物好き。翻訳や編集の仕事に携わった後、少女と動物の物語を書こうとこの物語を執筆した。発行後、ドイツで大人気となり、シリーズはドイツのみならず、日本をはじめ、フランス、スペイン、オランダ、スウェーデン、韓国などでも翻訳出版されている。

 翻訳ご担当の中村智子さんは、ご自身も二匹の猫と暮らす動物好きだが、動物たちの生き生きとした、それでいてとぼけた会話の持ち味は、原作を超える勢いだ。

 表紙画・挿絵は、いくつかの小学校で投票を実施し、一番人気のあったイラストレーター駒形さんに依頼した。駒形さんの手によるイラストが、リリアーネの世界に奥行きと臨場感を持たせている。

 二〇一四年四月には、日本向けの短篇とファンブックを合わせたスペシャル版を発行予定だ。それに合わせて、著者タニヤ・シュテーブナーさんが来日する。リリアーネ旋風はしばらく続きそうだ。