こどもの本

私がつくった本49
鈴木出版 濱野恵理子

(月刊「こどもの本」2013年10月号より)
幼年童話「おはなしのくに」シリーズ

『幼年童話「おはなしのくに」シリーズ』
(既刊6冊)
2013年1月〜

 今年の一月から幼年童話「おはなしのくに」シリーズを刊行しました。「売るのが相当難しい」と言われるこのジャンル。学校図書館司書、公共図書館司書、児童書の研究者、書店員、学校の先生、保育士…様々な分野で子どもに関わっている方々のところへ話を聞いてまわりましたが、どこへ行っても「面白くて、質の良い幼年童話がほしい」と言われます。

 面白くて質の良い幼年童話…って、いったいどんな本でしょうか? ある時は学校図書館のカウンターに入って、子どもたちをジロジロ眺めながら、またある時は電車の中で、夢中になって本を読んでいる小学生の背表紙をなんとか盗み見しながら、どんな本を作るべきなのか考えているうちに、二つの大きな目標が生まれました。

1、男の子も女の子も面白い!と思える本にしたい。
2、過去に絶版になっているが、消えてしまうのはもったいない本をもう一度出したい。

 男の子の中には、小学生になると外遊びやスポーツで忙しく、本に手が伸びなくなる子も多いように思います。また本そのものも、女の子向けのものが多いように感じました。男の子も、もちろん女の子も楽しめる!そんなシリーズを作りたいと思うようになりました。

 今シリーズの第一作目は、『ねこのたからさがし』(さえぐさひろこ/作、はたこうしろう/絵)。学校からの帰り道、ふいに見つけた立て札から冒険が始まるファンタジーです。三月には、あきやまただし先生の『ぼくはたまごにいちゃん』。これは、絵本『たまごにいちゃん』を長いお話にし、絵本では語られなかった主人公や家族の気持ちを丁寧に描いています。七月には『もしかしてぼくは』(内田麟太郎/作、早川純子/絵)。ナンセンスの名手である内田先生のお話に、早川純子先生の絵がさらなる魔法をかけました。以下続々刊行の予定です。

 絶版になった本を新たに出すという企画では、ぜひとも蘇らせたいと願っていた作品がありました。それは小学生だった当時、私が何度も読んで夢中になった本です。非常に奇妙奇天烈なお話で、初めてナンセンスというものに触れた瞬間でした。その名も『クレヨンマジック』(舟崎克彦/作、一九八二年刊)。舟崎先生にご快諾いただき、当時の絵も大好きだったのですが、今回は新しくほかの方にお願いすることになりました。画家は、この方しかいない!と思っていた出久根育先生。九月二十日刊行です。十一月には、『こたえはひとつだけ』(立原えりか/作、一九七七年)を刊行しますが、これも新しく、みやこしあきこ先生が絵を描いてくださいました。ぜひお手に取っていただけたらと願っています。