こどもの本

私がつくった本45
童心社 鈴木麻紀子

(月刊「こどもの本」2013年5月号より)
雨ふる本屋の雨ふらし

『雨ふる本屋の雨ふらし』
日向理恵子/作、吉田尚令/絵
2012年10月刊

『雨ふる本屋の雨ふらし』は、二〇〇八年に刊行された『雨ふる本屋』の続編です。

『雨ふる本屋』はこんなお話です。おつかいの帰りに図書館で雨やどりをしていた主人公のルウ子。カタツムリを追って本棚の間を奥へ奥へとすすんでいくうち、世にも奇妙な本屋、〈雨ふる本屋〉にたどり着きます。店主であるドードー鳥のフルホンさん、助手を務める妖精使いの舞々子さん(と、妖精のシオリとセビョーシ)や、文字通り〝本の虫〟である〈読みあさりブンブン〉…そして、めくるめく奇妙な住人たちが営むこの本屋には、驚くことにいつも雨が降っているのです! 「雨には、この星の物語がつまっているの」と舞々子さん。〈雨ふる本屋〉の本たちは、人間がわすれてしまったお話、すなわち〈物語の種〉に、雨をかけて完成するというのですが、最近、出来上がるのは面白くもない本ばかり。ルウ子はフルホンさんたちに懇願され、「どうして本がつまらなくなってしまったのか?」その原因をつきとめていくことになります。

 二作目、『雨ふる本屋の雨ふらし』では、ルウ子は妹のサラとふたたび書店をおとずれ、書店や図書館を破壊してまわる新たな敵・ミスター・ヨンダクレに果敢に立ち向かっていきます。「作家になる」という夢を持つようになったルウ子の活躍ぶりはめざましく、〈雨ふる本屋〉とサラを守る頼もしいお姉ちゃんへと成長していきます。

 冒険の後にはかならず、全員そろって楽しいお茶の時間がやってきます。本に囲まれておしゃべりを楽しむ個性豊かな登場人物たち。ユニークな彼らを〈雨ふる本屋〉に集合させているのは、(冒険が大好きで本など一冊も読んだこともないホシ丸くんでさえも)「物語が好き」という共通の思いなのでしょう。

 こんな風に、『雨ふる本屋』も『雨ふる本屋の雨ふらし』も、作品の底辺に流れているのは、「本」と「物語」へのかけ値なしの愛情であるように思われます。一作目が出た当初、無名の新人作品を丁寧に並べて売ってくださった書店員さん、「よんだらこころがホッとしました」と葉書をくれた九歳の女の子、「書店で一目見て買いました」と長い手紙をくださった五十代の男性…思った以上に熱心な支持を得ることができたのも、「本が好き、物語が好き」という作り手の思いに、多くの人が共感してくれたからかもしれません。

 幼いころからこつこつと物語を書きつづけてきた日向理恵子さんの中に眠っていた〈物語の種〉は、吉田尚令さんの手を借りて発芽し、大きく育ちました。これからお二人が、それぞれどんな新しい〈雨ふる本〉を生みだしてくれるのか、今後のお仕事にも期待をしています。