こどもの本

私がつくった本43
農山漁村文化協会 高坂 均(デザイナー)

(月刊「こどもの本」2013年3月号より)
いのちつぐ「みとりびと」(全4巻)①恋ちゃんはじめての看取り

『いのちつぐ「みとりびと」(全4巻)①恋ちゃんはじめての看取り』
國森康弘/写真・文
2012年1月刊行

「おじちゃん、どうして死んじゃいけないの?」

 小学生だった娘の友だちに唐突に聞かれて、戸惑ったことがある。とっさに、

「命を大事にしない人は地獄に行って『もっと』苦しむから。でも残された人たちは、何もしてないのに、ずっと忘れられなくて一生苦しむよね。可哀相だと思わない?」そう答えてしまった記憶がある。

 著者の國森氏から預かった写真を見て、当時のことを思い出した。子どもたちにどうやって命の大切さを伝えよう、どの写真にも著者の想いと覚悟が、そして被写体となられた故人やご家族の気持ちが溢れていて、身が引き締まった。

 子どもは、大人が思うようには考えてくれない。ならば説教がましくせず、正直に、誠実に、一緒に考えるための「場」に徹しよう。子どもたちの自分で考える力、気づく力を信じよう。國森氏の写真の中にそんなメッセージを感じた。

 雑誌などの写真とは違い、情報主体に説明的にするわけにはいかない。ひとつのテーマ、流れを考えると、明らかにこれは「組写真」という領域だった。それも、組写真としての流れと、ストーリーとしての流れがあり、双方を限られたページ数に違和感なくリンクさせるのに苦労した。

 他にも、写真として素晴らしいものはたくさんあったのだが、できるだけ削ぎ落とし、テーマがぶれないよう、また暗くならないようにと思った。著者が用意した写真の流れと原稿を拝見し、伝えたい想いを壊さない程度に、写真や順番の入れ替え、追加など、いくつか私なりの提案もさせていただいた。

 時系列に坦々と写真を並べていっても、あるページで唐突さが際立ってしまったり、読者がそのページまで運んで来た感情を一瞬でしらけさせてしまうようなことになりはしないかと、できるだけ「時間」を意識した。それとともに言葉の「リズム」が気にかかった。デザイナーの身でありながら、できるだけ自然な繋がりになるよう、部分的に言い回しの変更をお願いした所もある。有り難いことに、編集の和田氏や著者からも共感を得、現在の形になった。

 今回の本はこの三者のチームワークが素晴らしかった。写真家、編集者、デザイナーとして、お互いの想いや拘りに共感し合って完成した。そして、読者が選ぶ「けんぶち絵本の里大賞」にも選ばれた。

 國森氏の素晴らしい仕事を、編集者と共に子どもたちに送り届けられたことを、心から感謝するとともに、大変誇りに思う。

 この写真絵本を作り終えた今、自分はあの子に何と答えるだろう。

「数千年前から続く君の先祖の誰ひとり欠けても、今の自分はいないんだよ、伝えてもらったもの、また伝えて行こうよ」などと言うかもしれない。