こどもの本

私がつくった本38
教育画劇 清田久美子

(月刊「こどもの本」2012年10月号より)
もりのメゾン

『もりのメゾン』
まえをけいこ。/文・写真、原 優子/ぬいぐるみ
2012年9月

 人気ぬいぐるみ作家として、たくさんのファンを持つ、原優子さん。いろいろなところできっと皆さまも、一度は原さんのぬいぐるみ作品を目にされたことがあるのではないでしょうか。これまでにも、既存の絵本キャラクターのぬいぐるみ化を原さんが担当された書籍はありましたが、今回は、原さんにとって初めてのオリジナル絵本作品。新刊『もりのメゾン』を手がけていただくことができました。

 絵本を開けば、もうそこは、原さんオリジナルのぬいぐるみたちの世界! ウサギの管理人さんが切り盛りする『もりのメゾン』には、かわいい動物がたくさん住んでいます。ハリネズミの仕立て屋さん姉妹、キツネの奥さんと赤ちゃん、ネズミの三つ子ちゃん、ブタのお嬢さん、リスさん、みんな今日は、なんだかとっても忙しそうです…。

 その原さんとタッグを組み、愛らしいぬいぐるみたちの世界を、余すことなく、愛情たっぷりに描き出し、文章・スタイリング・写真を担当してくださったのが、まえをけいこ。さんです。まえをさんは、普段ご自分でも、作/絵の絵本のお仕事をなさっていますが、今回は原さんのぬいぐるみの魅力を引き出し、膨らませることに、多大な力とセンスを発揮してくださっています。

 原さんも、まえをさんも、元々お互いに持っている『可愛いもの』『大好きなもの』『大切にしたいもの』への感覚がとても近しいので、打ち合わせでも「ハリネズミさんのお部屋は、水色のトーンで統一したいんだけど…」「こっちの小花柄も合うんですけど、こっちの水玉の布地も捨てがたいですよね」

「ネズミの三つ子のお部屋は、全部赤・白・青のトリコロールカラーで、お揃いのものを並べたら可愛くない?」「じゃあ、スリッパも、帽子も、バッグも、みんな色違いで作りましょう」

「キツネの赤ちゃんのお部屋には、ベビーベッドの上に小さなモビールが揺れていたら、素敵」「このレースを使ったら、ぴったりかも」

なんて具合に、アイデア出しの時点から、どんどんイメージが湧いて、膨らんで、最後はもうあれもこれも、やりたいこと、入れたいものがたくさん増えて収集がつかなくなってしまうくらい…。一つ一つのページの作り込みは、本当に楽しい作業で、撮影も、まるで大人のおままごと遊びのように、家具や道具を片手に時間が経つのを忘れてしまって、熱中したものとなりました。

 そんなふうに作品の中にぎゅっと詰まった、作り手側の愛情と熱意が、絵本の画面を通して、きっと、読み手の皆さまにも届くに違いない!と信じつつ、この絵本を世に送り出したく思います。
『もりのメゾンへ、ようこそ! どうぞお入りください。あなたはどのお部屋が、気に入りますか?』