こどもの本

私の新刊
『ゆうれいたんていドロヒュー きえたアイドルのなぞ』 山本省三

(月刊「こどもの本」2012年10月号より)
山本省三さん

幽霊がつかまえ役

 雲のようにつかみどころのない幽霊。その幽霊が、つかまえ役として登場するのが、この『ゆうれいたんていドロヒュー きえたアイドルのなぞ』です。

 幽霊や妖怪は、敵役として登場する物語が多い中で、いつか彼らを正義の味方として活躍させたいと、長い間考えていました。そして、ドロヒューという、イケメンでキザで、少々間抜けなキャラクターを思いついたことで、ここに実現することができました。

 ドロヒューは、閻魔大王に探偵として雇われていて、人間の世界へ行って悪さをする妖怪たちをつかまえ、地獄に連れ戻す仕事をしています。また事件を通じて知り合った人間の双子のみこととまことと協力し、妖怪たちの恐ろしい術にも立ち向かっていきます。

 さらにこの物語はシリーズ化を前提にしており、言葉遊びと数遊びを一巻おきに盛り込むことになっています。

 一巻目のテーマは、文字抜き遊びで、たぬき、つまりある言葉から「た」の文字を抜くと、まったく別の言葉になってしまうおもしろさを扱っています。

 こうした遊びや冒険談を通して、子どもたちが、言葉や数の学びにさらに興味を深めてくれたらというのが、作者の願いです。

 おしまいに作者として、もう一つ隠された思い入れを述べておきましょう。

 主人公ドロヒューの名前の由来なのですが、まず幽霊登場の効果音、ヒュードロドロから。加えて、かつての米国の青春スター、トロイ・ドナヒューにもちなんでいるのです。

 生まれて初めて買ったレコードが「夏の日の恋」で、彼の主演映画「避暑地の出来事」の主題歌でした。変わった響きのある名前は、名曲とともにずっと記憶に残っていましたが、彼はその後、なぜか急速に人気が衰え、表舞台から去っていきました。まさに「きえたアイドルのなぞ」なのでした。

 でもドロヒューには、そんなドナヒューの轍を踏んで欲しくはありません。ドロヒューが子どもたちに愛され続けられるために、ただいま続巻をがんばって執筆しているところです。

(やまもと・しょうぞう)●既刊に『おふろでぽっかぽか』『すごいぞ!「しんかい6500」』『タンポポ あの日をわすれないで』など。

「ゆうれいたんていドロヒュー きえたアイドルのなぞ」
フレーベル館
『ゆうれいたんていドロヒュー きえたアイドルのなぞ』
やまもとしょうぞう・作・絵
本体900円