こどもの本

我が社の売れ筋 ヒットのひみつ29
「最強王図鑑」シリーズ 学研プラス

(月刊「こどもの本」2022年1月号より)
「最強王図鑑」シリーズ

「最強王図鑑」が、「最強」になった理由

G・MASUKAWA 他 監修/なんばきび 他 イラスト
2015年5月〜刊行

「最強王図鑑」シリーズは、第1弾の『動物最強王図鑑』から、直近の『神話最強王図鑑』まで、10冊の単行本(+フィギュア)が発売され、累計200万部に達する大ヒットシリーズになっています。シリーズのコンセプトは実に単純で、「同じ種属同士を戦わせたら、誰がいちばん強いのか?」というものです。

 そういう、シンプルかつストレートな内容を、どのように演出すれば、現代の「何でもそろっている」子どもたちに受け入れられるのか、正直なところ、よくわかりませんでした。

 大人になってしまった編集担当の勘に頼って作るのも違うだろうし、かといって、子どもたちにマーケティングしながら作るのも違う気がします。

 なぜなら、根本にある姿勢は、「子どもたちを驚かせたい」ですから、「驚かせたい」と思っている相手に、「どうしたら驚く?」なんて聞くのは、おかしな話だからです。

 悩んだ末に考えたのが、「子どもの頃の自分に向けて作るとしたら、どんな本にすべきか」というスタンスです。

 もちろん監修者や外部スタッフの方々とも、侃侃諤諤かんかんがくがくと議論をして作るわけですが、それと同様に重視したのが、「子どもの頃の自分」との脳内会議です。

 その結果、採用されたのが、「トーナメント方式」の誌面・目次構成と、「リアルなんだけど、出場選手たちの感情が見え隠れする、絶妙なバランスのビジュアル」です。

 後者については、ただただイラストレーターの方々の苦労と力量に感謝するしかありません。「ああじゃない。こうじゃない」と言うのは簡単ですが、それをビジュアルで表現するのは、並大抵のことではありません。この場をお借りし、改めてお礼申し上げます。

 もうひとつの「トーナメント方式」は、本に思わぬ効果を与えてくれました。それは、「展開」と「物語性」です。

「対決の結果はどうなるのだろう?」「次の対決はなんだろう?」という興味が駆動力となって、ページをめくる手が止まらないという、「展開」が生まれました。

 そして、その「展開」によって、あたかも出場選手たちが、傷だらけになりながらトーナメントを勝ち上がっている「物語性」を、読者が感じてくれるようになりました。

 その部分こそが、「最強王図鑑」シリーズが、多くの読者に支持されるゆえんです。

「最強王図鑑」シリーズは、富士登山で言えば、まだ3合目あたりを登っている感覚です。これからも、さらに読者、過去の自分を驚かせる本を作っていきたいと思っています。

(学研プラス 目黒哲也)