日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『たいそうするよ 1,2,3,はい!』 高畠 純

(月刊「こどもの本」2021年11月号より)
高畠 純さん

絵本で遊ぼう

 ぼくにとって久しぶりの作絵の絵本。

 小さな子どもたちが絵本を使って遊べる、そんな絵本にしたいと思った。絵本を見ながら自然に体を動かしたくなるような絵本だ。

 体操の絵本を考えるにあたって、運動が苦手な子が、「これならできそう」、と感じる、そんな絵本にしたかった。

 手をあげる、手をおろす。横を向く、体を前にまげる、片足をあげる……。日常的に行われる普通の動作を基本に。

 声をだしたり体を動かしたりすることは、心を大らかにしてくれる。

 登場するのは全て動物。人間では動きは説明っぽくなる。普段、ぼくは絵本の動物にはあまり服は着させない。でもこの絵本にはそれが必要だ。動物のままでは生々しくなり、視覚的にイメージを自分に置き換えにくくもなる。

 ラフを描きながら、一体この動物はどんな色のスポーツシャツなんだ? などと、あえて深く色を探るのをやめ、鉛筆で描き進めた。

 基本的に動作の繰り返しの絵本。前後ページのめくりをパタパタと繰り返すと、アニメ的動きもそこに見える。

 それはともかく、いざ着色に入ると、あえて色を探るのをやめていたので、色をつけるときにはとても新鮮であった。「あー、このパンダはこんな色のパンツになるのか」などと。それが各ページ描いていておもしろかった。

 着色を進めると今までの経験の感覚を超えるときがある。

 テクニックについてもそうだ。ぼくはあまりややこしいテクニックは持ち合わせていない。それでも、ラフを描きながら、本番はどうなるんだ、自分で描けるのか。でも、この絵がいいとぼくのどこかで言っている。ここでもいざ、本番、画面に立ち向かうと、それなりにテクニックを画面から教えてくれるときがある。(なんだか、偉そうなことを言ってしまった。)

 とにかく、おもしろく描けて、おもしろい絵本ができるのが肝心。

 新しい絵本に託す。

 子どもたちがこの絵本で大いに遊んでくれることを。

(たかばたけ・じゅん)●既刊(絵)に『ほらふきカールおじさん』『ぼくは』『モンスター・ホテルでおばけやしき』など。

『たいそうするよ 1,2,3,はい!』
光村教育図書
『たいそうするよ 1,2,3,はい!』
高畠 純・作・絵
定価1,210円(税込)