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「大どろぼうジャム・パン」シリーズ 文研出版

(月刊「こどもの本」2021年9月号より)
「大どろぼうジャム・パン」シリーズ

大どろぼうジャム・パン誕生のうら話

内田麟太郎 作/藤本ともひこ 絵
2017年12月~刊行

 大どろぼうジャム・パンは、2016年10月に内田先生の自宅に伺った時にアイデアがうまれました。子どもの好きな言葉である「探偵・どろぼう・超能力・悪者」がキーワードでした。

 その二か月後、内田先生から原稿が届きました。まずタイトルにびっくりしました。探偵の話なのに大どろぼう? 名前がジャム・パン?

 そして原稿を拝読して、とんでもない内容に驚きました。警視総監が「どろぼう公認証」を探偵のジャム・パンに発行します。つまり、警察が特定の人物に「どろぼうをしてもいい」と認めている設定です。子どもたちは、自分だけの、特別なカード(公認証)が大好きです。内田先生の、子どもの目線を意識した言葉と、ダイナミックな展開に隠された、物事の善悪にふれる展開に、「これは子どもにうける」と確信しました。

 ちなみに、なぜ主人公の名前はジャム・パンなのか、内田先生に聞いてみました。内田先生曰く、「この話は、ジャム・パンを食べながら書きました。主人公の名前が決まらなかったので、その時食べていたジャム・パンを名前にしただけです」とのことでした。真実は闇の中です。

 この作品が、みなさんに受け入れられた要因の一つに、絵と紙面のデザインがありました。

 内田先生から指名された、画家の藤本先生とは、「売れるためには見映えとタイトル」という共通認識で、主人公のジャム・パンのラフを検討していきました。1960年代のアメリカのマンガを意識し、内容に合わせてエッジの効いた主人公のイラストや探偵事務所の風景などは、他の童話作品とは一線を画したイメージになりました。

 この作品の特徴でもある、くせのあるキャラクターは、すべて動物を擬人化した設定にしました。人間はひとりも出てきません。この藤本先生のアイデアが、犬でもなく、オオカミでもない主人公、大どろぼうジャム・パンを生み出しました。内田先生にジャム・パンのラフをお見せしたとき、「ジャム・パンは人じゃないの!?」と驚かれ、大笑いされたことを思い出します。読者からは「ジャム・パンは犬ですか? キツネですか?」との質問がきています。こたえは、これからも続く「大どろぼうジャム・パン」シリーズの中で解き明かされるかもしれません。

 いろんな悪を目の前にしたジャム・パンが、愛と勇気と機転と優しさを武器に解決していきます。ご期待ください。

(文研出版 小林 篤)