日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『わたしはだれ? Who am I ?』 ノーブスミー

(月刊「こどもの本」2021年8月号より)
ノーブスミーさん

豊かな想像力と地球の未来

 本作は「地球は生きている」をテーマにしています。母なる地球の姿を多面的に描写し、子どもたちが「生命の大切さ」を学び、「自然を愛する心」を醸成することを願い、創作しました。

 本文中では「わたしはだれ?」「あなたは○○」の会話のやり取りが、繰り返し出てきます。短い言葉と抽象度の高いイラストで画面を構成したのは、子どもたちの考える力を育てるのが狙いです。また、日英文併記により、英語の概念が学べるよう工夫しています。 企画の背景には、私共が書店や学校などで行った「子ども向けワークショップ」が存在します。そのなかで常々感じていたこと・・それは「参加者の年齢が上がるにつれ、主体的な意見や考えを述べる率が低くなる」ということです。

 低年齢の子どもたちは、ワークショップのルールを逸脱し、独自性を周囲にPRします。一方で小学校の高学年くらいになると、クラスメイトの進捗や大人の評価を徐々に気にし始めます。そこで私共が考えたのが、「子どもの主体性を誘発する絵本」・・本書の創作でした。

 刊行直後、大阪府が主催する「オーサービジット事業」の講師として、府内の小学校を訪問しました。授業テーマは「自分だけの世界を描こう」です。

 子どもたちは八つ切り画用紙を真ん中で折り、画面左側に文字を入れ、画面右側に自分が想像した絵を描いていきます。

 誰一人として、同じ結果にはなりません。「写実的な絵」「モノトーンの絵」「空想動物の絵」など、多種多様でどれもが魅力的です。授業中、子どもたちのエネルギーがどんどん高まり、教室内が熱気に包まれました。

 授業内容のブラッシュアップはまだまだ必要ですが、主体性や個性を育む取り組みとして、手応えを感じた次第です。

 最後に本書を創作するにあたり、一般社団法人日本SDGs協会代表理事の堤晶子さんには、推薦文をお寄せいただくなど大変おせわになりました。この場を借りて御礼申し上げます。

(ノーブスミー)●既刊に『森のゲオルグ』『たるとたたんのたいこまつり』など。

『わたしはだれ?
出版ワークス
『わたしはだれ? Who am I ?』
ノーブスミー・さく・え
定価1,760円(税込)