こどもの本

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「10かいだて」シリーズ PHP研究所

(月刊「こどもの本」2021年7月号より)
「10かいだて」シリーズ「10かいだて」シリーズ

会話と夢が広がる!

のはなはるか 作
2019年9月~刊行

「どのドレスがすき?」「こっちの方がかわいい!」我が家の姉妹は「10かいだて」シリーズを開くたびに、こんな賑やかなやりとりをしています。そして私も姉妹とともに童心に帰り、華やかなアイテム選びに心躍らせています。

 シリーズ1冊目である『10かいだてのおひめさまのおしろ』は、おひめさまになるために、ドレスや靴などを選びながら、お城の最上階である「10かい」をめざすという絵本です。発売から1年半ほどで10万部を超えるベストセラーとなり、第2弾『10かいだてのまほうつかいのおしろ』も発売1週間で増刷がかかり、今後も大注目のシリーズです。

 初めてのはな先生にお会いした際に、自身の絵本について「子どもとたくさん話ができてありがたい、と親御さんに言われるんです」とおっしゃっていたことが印象的です。もともと、私が依頼をしたきっかけは、繊細で精緻に描かれる世界観に惹かれたことはもちろんのこと、じっくり見入って何度も読む楽しさがあり、そこから会話が広がるという魅力を感じていたから。そんな想いを伝えながら、絵本の方向性はすぐに決まり、テーマの話し合いを進めました。そしてある日「おひめさま、好きですか?」と質問を受けたことを、今でもよく覚えています。ちょうどその頃、おひめさまブームの長女がいたこと、また、のはな先生が描かれるおひめさまの世界は「絶対にかわいい!」と確信でき、迷うことなく、テーマが決定しました。

 アイデアを練っていく過程では、各場面でアイテムを「選択」していく作りにすることや、最終地点をお城の上、つまり「10かい」にすること等、話し合いを重ね、オリジナリティある作りを意識しました。また、細部にわたるこだわりの描きこみには、下絵の段階から常に圧倒され、念入りな校正作業に緊張の連続でした。そうして長い時間をかけ、ついに原画アップの瞬間……! コピックで描かれた優しく繊細な描写、キラキラと輝く美しい世界に興奮がおさまらず、思わず他の部員を呼びよせ、皆で感動したことは忘れません。

 依頼当時、おひめさまブーム真っ只中だった長女も今や4年生。時間をかけて丁寧に作られている本シリーズに、たくさんの反響をいただき感謝の気持ちでいっぱいです。そして、今でも姉妹で本を囲み、頭を寄せ合う姿をみていると、企画当初の想いが読者に届いているように感じ嬉しくなります。

 これからも、「会話と夢が広がるシリーズ」として多くの読者に届くことを願っています。

(PHP研究所 鈴木由季)