日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『よろしくパンダ広告社』 間部香代

(月刊「こどもの本」2019年10月号より)
間部香代さん

本田パンダをよろしく!

 私の友人であり、この物語の主人公でもある本田パンダをご紹介しよう。

 本田は、パンダ広告社に入社して五年目のコピーライター。一緒に仕事をしていた先輩、半田パンダが、マジシャンの両親の跡を継ぐため会社を辞めてしまい、ひとりでコピーを書くことに。最初の仕事は、ランドセルのテレビCMに決まった。

 同期のデザイナー、神田パンダ子はサクサクと仕事を進めていき、社長の千田パンダも久々のテレビCMに上機嫌。そんななか、本田はなかなかコピーを書くことができない。焦る。

 ランドセルの機能を説明するだけじゃコピーにならない。使っているところは映像で伝わる。その先にあるものを伝えたい。

 でも、それが難しいのだ。

 私は作家になる前に、コピーライターをしていた。テレビCMや新聞広告など多くの人が目にする媒体に、自分の考えたキャッチコピーが躍る喜びを知っている。そして、その難しさも。

 私はコピーライターの先輩として、本田にコピーの書き方を教えることもできたが、それをしなかった。なぜなら、本田には仲間がいたからだ。

 案の定、本田は仲間の支えと、自らの力で、少しずつ本物のコピーライターになっていく。

 そんな彼らをつぶさに観察し、そのまま描いていくのは、じつに楽しい作業だった。本田はよく泣いていた。

 高学年向けの擬人化の物語は、珍しいかもしれない。けれど、そうする必要があったのは、人間の大人よりもパンダの大人とした方が、子どもたちの能力や感覚に近い存在になるからだ。

 その上で、「言葉の力」と「クリエイティブの醍醐味」を伝えたかった。表現すること、仲間と何かをつくりあげること、そして働くこと、その素晴らしさを伝えたかった。

 私の愛すべき友人たちは、おそらく今日も、悩みに悩んで広告をつくっていると思う。

「よろしくパンダ!」、この言葉を胸に刻んで。

(まべ・かよ)●既刊に『しょうぎ はじめました』『まーだだよ』『たぶん ほんと』など。

『よろしくパンダ広告社』"
学研プラス
『よろしくパンダ広告社』
間部香代・作/三木謙次・絵
本体1,400円