こどもの本

我が社の売れ筋 ヒットのひみつ4
「恐竜トリケラトプス絵本」 小峰書店

(月刊「こどもの本」2018年7月号より)
「恐竜トリケラトプス絵本」

恐竜絵本といえば!
「恐竜トリケラトプス絵本」
黒川みつひろ 作絵
1992年6月~刊行

 1992年にスタートした恐竜トリケラトプス絵本は、「恐竜の大陸」「たたかう恐竜たち」「恐竜だいぼうけん」とシリーズを変えつつ、すべての本が現在も重版を重ね、累計140万部となっています。

 物語の主人公は草食恐竜トリケラトプスの群れのリーダー、ビッグホーンと息子のリトルホーン。恐竜といえばティラノサウルスやアロサウルスなどの肉食恐竜を思い浮かべがちですが、草食恐竜なのに、なぜ? ヒットの理由を考えてみました。

(1)主人公がトリケラトプス
 トリケラトプスは草食恐竜としてはめずらしく、肉食恐竜と戦うために、大きな角やかぶとのような襟飾りを持つよう進化したと考えられています(諸説あります)。困難に出会っても逃げずに戦うところや、リトルホーンが頼もしく成長していくところが支持されているのかもしれません。

(2)恐竜の物語絵本
 シリーズがスタートした当時、恐竜の本といえば図鑑的なものがほとんどでした。ですが、物語絵本にすることで新説を取り入れやすくなり、白亜紀の恐竜とジュラ紀の恐竜を出会わせるなど大胆な設定で描けるようにも。巻末には解説を入れて、恐竜を詳しく知りたい子にも楽しんでもらえるようにしています。

(3)読者との交流
 読者の子どもたちから黒川みつひろ先生宛に、ほぼ毎日、お手紙が届きます。お礼として編集部からは恐竜ポストカード、そして、黒川先生からもお手紙が……。これは、ずっと続いていることです。「恐竜の大陸」シリーズ巻末には、届いたイラストを名前入り(!)で紹介するコーナーもありました。また、お話会やワークショップ、ブックフェアのサイン会では、黒川先生はイラスト入りのサインをしながら、必ず子どもに話しかけます(5月の上野公園でのブックフェアでは、毎回、3日間、朝から夕方まで!)。会話の中から、新たな作品の構想が浮かぶことも。親子でファンという方も多く、家族で楽しんでもらいたいと、肉食恐竜が父親として苦労する巻や、肉食恐竜と草食恐竜の母親同士が子どもを守るために戦う巻なども生まれました。

 ここ十年ほどで、女の子のファンが増え、親子2代に渡って読み継いでいますという声も聞かれるようになりました。いつか、「恐竜トリケラトプス絵本がきっかけで恐竜の研究者になりました!」という方に出会えるといいなあと思っています。

(小峰書店 小林美香子)