日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『なみきビブリオバトル・ストーリー2 決戦は学校公開日』 赤羽じゅんこ

(月刊「こどもの本」2018年4月号より)
赤羽じゅんこさん

ビブリオバトルを物語に

 本を紹介して投票し合うゲーム、ビブリオバトルを最初に知ったのは、本屋さんのイベントでした。ビブリオバトル普及委員の友だちに誘われたのですが、その時は、本を五分間で紹介し合い、観客の最多投票数でチャンプ本を決めるなんて、なんだかなぁと少し否定的に考えていました。好きな本は大切な宝物。それをあえてゲームで紹介したいとは思わないと。だけど、武蔵野図書館主催のビブリオバトルの初心者体験講座に参加してみて、考えが変わりました。本を紹介することで、その人を知ることができます。老若男女、本を題材にとても楽しく語り合い、盛り上がり、コミュニケーションがとれます。チャンプ本をとればうれしいですが、目的はそこではありません。本屋のイベントでも、チャンプ本以外が売れたりもします。立て板に水のようにうまく話す人の紹介本が選ばれるわけでもなく、ベストセラーが選ばれるわけでもありません。観客の心に届くかどうかは、どれだけその本が好きかが重要です。

 そんなビブリオバトルの楽しさを、子どもたちにも伝えられないかと考えてつくったのが、一作目『なみきビブリオバトル・ストーリー 本と4人の深呼吸』です。この作品が好評で、続編としてだしたのが、『なみきビブリオバトル・ストーリー2 決戦は学校公開日』です。今回は場所を小学校にうつして、四年生のクラス内でビブリオバトルをする設定。四人の作家(森川成美、おおぎやなぎちか、松本聰美、赤羽じゅんこ)のアンソロジー形式なのは前作と同じ。何度も打ち合わせ、実際にビブリオバトルをしてみながら練り上げました。個性の違いがからみ合って、大きなストーリーの流れをつくっています。それぞれの主人公たちは自分を見つめたり、家族とのつながりを考えたり、様々に思いをめぐらせます。私が担当したのは、本が好きだけど人とうまく交われない女の子。それはかつての私自身。本が好きな多くの人に手にとってもらいたいです。

(あかはね・じゅんこ)●既刊に『カレー男がやってきた!』『がむしゃら落語』『犬をかうまえに』など。

『なみきビブリオバトル・ストーリー2 決戦は学校公開日』
さ・え・ら書房
『なみきビブリオバトル・ストーリー2 決戦は学校公開日』
森川成美、おおやなぎちか、赤羽じゅんこ、松本聰美・作
黒須高嶺・絵
本体1、400円