こどもの本

私がつくった本79
ポプラ社 堀 創志郎

(月刊「こどもの本」2017年10月号より)
ふしぎいっぱい写真絵本(既刊31巻)
ふしぎいっぱい写真絵本(既刊31巻)
2002年7月~刊行

 身近なところにも、わたしたちの知らないことがたくさんあり、身近だからこそ、そこにある不思議が、より驚きをもって迫ってきます。

 みなさんはカエルの前あしがどうやって生えてくるか、知っていますか? 

 うしろあしは、植物が生長するように、小さなあしがだんだんと大きくなっていきます。

 いっぽう前あしは、皮膚の下であらかじめ形づくられたあしが、右側は皮膚をつきやぶって、左側はえら穴を通って、ある瞬間一気に生えてくるのです。

 オタマジャクシにあしが生えてカエルになることは、小さいこどもたちでも知っています。ただ、そのあしがどのように生えてくるかを見たことがある人は、そう多くはないでしょう。

 そういう身近な生きものたちの知られざる不思議を、第一線で活躍する写真家たちの作品を通し、こどもたちに伝えていきたい。そんな思いでつくっているのが、「ふしぎいっぱい写真絵本」シリーズです。

 本づくりにあたってわたしたちは、自分自身がびっくりできるか、興味や愛情をもってそのテーマを楽しむことができるかを、何より大切にしています。

 たとえば、ダンゴムシ。

 こどもたちに不動の人気をほこるこの生きものも、よく観察してみると、そこには驚きの生態があります。脱皮をしたダンゴムシが、ぬいだ皮をむしゃむしゃと食べるようすには、小さな生きもののたくましさを感じます。お母さんダンゴムシのおなかにかかえられた卵から小さな赤ちゃんたちが生まれ、やがていっせいに外の世界へ出てくるさまは、かわいらしくもあります。

 また、川の中をのぞいてみると、小さな魚たちが、子孫を残すためにさまざまな戦略をとっていることに驚かされます。貝の中に卵を産みつけて守ったり、ほかの魚に自分の卵を守らせたり。まさに長い時間をかけて作りあげた生きものたちの知恵の結晶です。

 自然が相手ということは、わたしたちの思い通りにならないこともたくさんあります。ときには、たった一枚の写真が撮れないという理由で、刊行を何年も先のばしにすることもあります。

 繭から虫が誕生するほんの一瞬のために、一晩中カメラをかまえつづける写真家がいます。また、何十キロもする撮影機材をかかえて、危険な崖をおりていく写真家もいます。どんな困難をへても、読者に「本物」を見せたいという写真家たちの思いに、このシリーズは支えられています。

 本を読んで自然の世界に興味をもったら、次はぜひ、外へと出かけてみてください。そうして今度は、みなさん自身の目で、「本物」を発見してください。不思議な世界は、すぐ近くの足下にも、たくさん広がっているのですから。