こどもの本

私がつくった本70
小学館 髙成 浩

(月刊「こどもの本」2016年3月号より)
キッズペディア 世界遺産

キッズペディア 世界遺産
「キッズペディア」編集部/編集
2015年11月刊行
小学館 髙成 浩

 見開き1テーマで構成し、写真やイラストをふんだんに用いて、子ども達の疑問や興味に応えようという趣旨の〈キッズペディア〉シリーズ。見た目も「図鑑」っぽいし、たしかに書店では「図鑑」の棚に置かれているのですが、弊社の定番図鑑である〈小学館の図鑑NEO〉と区別するためもあり、図鑑とはひと味ちがう「学習ビジュアル百科」ですよと、我々スタッフは名乗っています。そんな学習ビジュアル百科シリーズの最新刊『キッズペディア 世界遺産』を昨年11月に刊行しました。
 世界遺産の数は年々増え続け、現在その数は1031にものぼります。日本国内には19件の登録があるのですが、複数の都道府県に構成資産が及ぶものもあるため、じつは既に過半数の26都道府県に、なんらかの世界遺産がある状況になっています。
 また、かつては「世界遺産≒有名観光地」といった趣でしたが、現在は決してそうではありません。たとえば新登録された「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の場合、〝軍艦島〟として知られる端島炭坑(長崎県)が有名ですが、保存の観点からも大がかりな観光ツアーで大勢のお客さんを呼び込むのは難しい状況ですし、三菱長崎造船所のように、現在も現役で稼働しているために一般公開すらされていないものもあるのです。
 「それじゃ世界遺産ってなんなのさ?」とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、ザックリ言ってしまうと「未来の世代に引き継ぐべき人類全体の宝物」のこと。「明治日本の産業革命遺産」の場合は、イギリスで始まった産業革命が欧米以外で初めて成功した事例であることが、世界遺産に登録された理由です。日本一国にとどまらず、人類の歴史上重要な証拠・記録であるということが基準なのです。……それってスゴイ!と思いませんか? 26都道府県の子ども達にとっては、自分の住むそばに「人類全体の宝物」があるんですから! 日本は今年以降も、有力な世界遺産候補が並んでいます。世界遺産を身近に感じて大切にしようと考える子ども達がますます増えていくことでしょう。小学校などでも郷土の歴史や風土を学ぶきっかけとして世界遺産を活用しているというお話も伺いました。世界遺産をきっかけに、地元から世界へ広がる好奇心……世界遺産がない神奈川県民の私としては、ウラヤマシイ限りです。
 国内の話題に終始してしまいましたが、もちろん海外の世界遺産もたっぷり紹介、さながら「世界のびっくり七不思議大集合!」といった趣向です。だから編集作業も楽しかったのですが、逆にすごく悲しいこともありました。実際にはたいていの世界遺産に行ったことがないくせに、よく知ってるつもりになっちゃっていること……残念無念!