こどもの本

私がつくった本68
あかね書房 木内麻紀子

(月刊「こどもの本」2015年12月号より)
よめる よめる もじの えほん

よめる よめる もじの えほん
こくぼみゆき/さく、しもだいらあきのり/え、下山ワタル/デザイン
2015年8月刊行
あかね書房 木内麻紀子

 はじまりは、ほかの絵本の打ち合わせで顔を合わせていた、デザイナーの下山ワタルさんとの四方山話からだったと思います。
「子どもって、すぐに大きくなっちゃいますね」
「でも、日々発見があっておもしろいですよね」
「そういえば、そろそろ卒業かと思っていた赤ちゃん絵本を、こんどは自分で音読するようになって。何度でも楽しめるというのはすばらしいですね」
「拾い読みのはじめに、赤ちゃん絵本の平易なことばは合いますよね。でも、ちゃんと年少さんから年長さん向けに作られたもので『読むこと』に触れられる絵本があったら、もっといいですよね」
「下山さん! 作りませんか?」
 こんな会話から、企画は出発したのでした。
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  ・創作絵本を楽しむ気持ちで手にとれるものに
  ・ドリルや学習絵本とはちがう形態に
  ・きれいな色を飽きなく眺められる絵に
  ・グラフィカルで見やすいデザインに
  ・文字の量は少なく読みやすい文章に
           *
 テキストすらない段階で、編集者とデザイナーのコンセプトはこんなふうに共有されていきました。すごくいいものになりそう! とワクワクしてはいましたが、具体的にはまだなにもない。ううむ。
 そこへ、文章のこくぼみゆきさんに参加していただくと、イメージをみるみる形にしてくださり、「それですっ!」と、届いたメールに向かって、私は思わず一礼したものです。こくぼさんは子どもの歌の作詞をされていますが、絵本の文章ははじめて。それでも初回のプロットと出来上がった絵本を比べ、ほとんど骨子に変更がないなんてさすがです。
 さらに、絵のしもだいらあきのりさんも幼児向けの絵本ははじめてだったのですが、依頼してすぐ、チームの意向をスーっと汲んでくださいました。編集の私は、何度も「自由に描いてくださいね、自由にです!」とは言いましたが、すでに前述のコンセプトがあり、かつ、必ず描いてもらいたいブツだってあるわけです。しかし、そんな制約めいたものを、軽々と超えたラフや本描きをくださり、さいごまで私たちをうれしく驚かせてくれました。
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 このような進行、私には経験したことのない流れでした。皆で作っていたことで、不安も期待も想定外のところからやってきたし、どんな顔つきの本になるか、正直、見本日に手でさわるまでドキドキでした。でも、だから、本作りはおもしろいですね。たくさんの方に読んでほしい作品になりました!
 さいごに。日々を見せてくれて、校正を見てくれた子どもたち、ありがとう。力になりましたよ!